第七話 「鯨のはなし」
駒形どぜうと鯨とは縁が深い。いや、そんな生易しい間柄ではありません。むしろ、どじょうと同じで切っても切れない関係にあると言えるでしょう。なぜならば、当店でお客様にお出ししてご好評を頂いている「くじらなべ」や「さらしくじら」は、百年以上も続いている歴史的なメニューだからです。 その材料となる鯨ですが、昔はザトウクジラやセミクジラの肉を使っていました。しかし、両種ともずっと以前から捕獲禁止となってしまい、今日ではシロナガスクジラを使っています。ちなみに、鯨は世界の動物の中で最も大きな体をしていることで知られています。なかでもシロナガスクジラは最も大きく、体長24〜35メートル、体重90〜100トンにも達するといわれています。 また、鯨は哺乳類なので人間と同じように、鼻から空気を呼吸しています。しかも、鼻が頭の真上にあるので、天を仰ぐような格好になるため愛嬌があり、ちょっと気の毒のような気もします。その鼻もさすがに便利にできていて、海の上に浮かび上がっている時はオープンなのですが、空気を吸い込んで海中に潜る時は、しっかり鼻が閉まるようにできているというから、鯨をつくった神様も天才です。 さらに不思議なのが、鯨の潮吹き現象です。ある動物学の本には、次のように書かれています。 まず海上で吸い込んだ空気は、海中で潜っている間に体温と同じぐらいの温度に暖められ、水蒸気をいっぱいに含みます。そして、再び水面に浮かび上がった鯨は、この空気を空に向かって元気よく吐き出します。吐き出した空気は、冷たい空気に触れることで、水蒸気が霧のような小さな水滴になって吹き上げられます。などと、解説されているのです。 当店では、江戸時代から鯨肉は皮のついている脂身を使っていますが、これにはワケがあります。冷凍技術の進んだ現代では問題ありませんが、昔は近海で鯨を捕獲して岸まで運ぶまでに、肉が腐ってしまったのです。ところが、皮のついている脂身はすぐには腐らずに長持ちしました。その当時、当店では大阪の問屋から仕入れておりましたが、そのお店はどうなっているのでしょうか。 それはともかく、国際捕鯨委員会やアメリカを中心とした環境保護団体の強い反対にあって、捕鯨活動は全面禁止の瀬戸際に立たされています。遠からず当店の献立表からも「くじらなべ」や「さらしくじら」の文字が消えるおそれがあるのかと、忍びない気持になってしまいます。
by komakata-dozeu
| 2009-04-02 15:37
| どぜう往来
|
カテゴリ
以前の記事
2012年 09月
2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 ■本店・姉妹店リンク■
駒形どぜう -やきとり- 串助宇田川本店 串助雷門店 串助原宿店 串助秋葉原店 -おでん- ひょうたんなべ雷門店 ひょうたんなべ吉祥寺店 -海鮮居酒屋- 魚やもへい -ちゃんこ居酒屋- ちゃんこ部屋 -居酒屋- 長屋門 Shibuyaもへい まるじゅう 長屋門奥座敷 -しゃぶしゃぶ- 四万六千日 -そば居酒屋- 助 七 ■書籍のご紹介■ 駒形どぜう六代目の 浅草案内 最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||