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どぜう往来 四十六号 [平成六年十一月発行] のれんと柳 第十話 渡辺栄美(五代目夫人)

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旅ゆかば(海外編)その一

 私が初めて海外旅行を経験したのは、今から二十六年前、1968年(昭和四十三年)のことでございます。亡くなった主人(五代目助七)と一緒にメキシコオリンピックを見物に行ったのが最初でございます。そのことは、主人が在命中に本誌でもテキーラを現地で飲み過ぎて酩酊してしまったエピソードを織り交ぜながらご紹介したことがございますので、この欄では、ふれずにおこうと存じます。いずれに致しましても、その最初の海外旅行がきっかけとなってから今日までに50回以上も海を渡ることになったのでございます。

 そんな旅の思い出のいくつかをお話しさせていただきます。それは、こんなふうにイメージされるのでございます。

── ただ強烈な暑さと人いきれ、彫刻的なほりの深い顔、眼光の鋭い目が忘れがたい国、インド・スリランカの旅。

── そのスケールの大きさに感動しながら眺め、登ったピラミッド・スフィンクス、そしてナイルの賜物の国エジプトの旅。

── 幻想的なフィヨルドと、人魚伝説、美しい湖の国、ノルウェイ・スウェーデン・フィンランド・デンマークの旅。

── 雄大な自然の中で、むき出しの本能を見せる動物達、自らが志願して行ったアフリカサファリツアーも生涯忘れることの出来ない旅でございます。

── フラメンコと闘牛、気の遠くなるような遠大な計画と悠久な時間の流れのなかで建てられているサクラダファミリア。アンダルシヤ地方の美しい国、スペインの旅。

── ガメラン音楽とケチャックダンス、どこか昔の日本の田舎の風景を思いおこさせる神秘の島、バリ島の旅。

── 宝石の輝きに目を奪われ、おいしいお料理に舌鼓を打った魅惑の都、香港の旅。

── 韓国の東海近く、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国境に接してある雪岳山、その麓で松茸狩りを楽しみ、自分たちで採った松茸を泊まったホテルのレストランで料理して味わった韓国グルメツアー。

── 一日100ドルと予算を決めて、昼夜とも最高級の食事を楽しみ、ベネチアングラスなどショッピングも堪能し、贅沢な体験をしたイタリア(ベニス)の旅。

── ライトアップしたアメリカ各地の大空港のまばゆいばかりの輝きに息をのんだアメリカの旅。

 そうそう、アジアで忘れてならないのが台湾でございます。台湾とは、昭和三十九年からご縁がございます。日本では、冬場になると、どじょうが品薄状態になり、一年の内四ヶ月ほどは一種の端境期になるのでございます。その解決策として年間を通じて温暖な台湾からどじょうを輸入することになり、これがきっかけで主人はじばしば出向くことになったのでございます。今では台南に専門の養殖場を持ち、安心してお召しあがれるどじょうを安定供給できるようになったのでございます。その関係で私もこれまでに二回ほど台湾を訪れ、中国文化の殿堂、国立故宮博物院などの素晴らしい芸術品にふれることが出来るのでございます。

 私は、海外旅行の良さは三つあると存じております。第一はストレス解消になること。第二は見る、聞く、ふれることによって何かを吸収し、勉強になること。第三は若返りになることでございます。 (つづく)
by komakata-dozeu | 2012-06-01 08:00 | のれんと柳
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