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四十七号 [平成七年二月発行] のれんと柳 第十一話 渡辺栄美(五代目夫人)

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旅ゆかば(海外編)その二
「ホノルルマラソン大会への応援歌」


前号で海外旅行の良さの三つめに若返りになると申し上げましたが、私達小商人は主人との話は商売の事と子供の教育の話位でゆっくり二人で話し合う時がなく、旅へ出るとお互いに助け合って自由な空気が吸えて、日数も長く、勉強にもなり、一生のいい思い出が残り、又帰れば一生懸命働いて又行きたくなり一寸若返り術にもなります。

さて今回お話ししたいのは、世界三大市民マラソン大会のひとつとして知られる恒例のハワイホノルルマラソン大会が昨年十二月十一日、同州オアフ島で開催され、話題になったことは、日本でも周知のことであると存じます。この大会は、今年で二十二回目を迎え、参加者は過去最高の三万二千人余にのぼったようでございます。このうち、驚くなかれ、日本人参加者は実に二万人にのぼったとマスコミに報道されておりました。私もこれまでに三度ほどホノルルマラソン大会を見物いたしましたが、その感動を少しでも皆さまと分かち合うことができればと、筆をとったのでございます。

今回のマラソン大会で私が一番感動いたしましたのは、女性マラソンランナーとしてすでにベテランの域にある浅井えり子選手がオランダの女性ランナーで日本でもお馴染みのカーラ・ビュースケンス選手に次いで堂々と二位に入賞したことでございます。

優れたコーチであり、良きパートナーでもあるご主人が病の床にあるのを励まそうと一生懸命に走る姿を見て、大きく胸を打たれました。その小さな身体は「私も頑張るから、あなたも元気を出して」と精一杯に訴えているようでございました。

気温25度、湿度60%の蒸し暑さの中、42.195キロもの距離をわずか二時間三十分余りで走破したのですから、その苦しさは予想以上のものがございましたでしょう。ファンの一人として、これからもご主人のために、ご自分を勇気づけるためにも、走り続けて欲しいと願っております。

私がホノルルマラソンを知るきっかけとなったお話をいたしましょう。私どものお店の大切なお客さまのひとりに講談家の室井琴梅師匠がいらっしゃいます。奥様の琴桜師匠とともに夫婦講談で知られる文字通りおしどり夫婦でございます。お二人は、いつも駒形どぜうの渋谷店で開催している「どぜうサロン」や浅草本店で開催している「江戸文化道場」の催し物の司会などをしていただき、日頃からお世話になっている方々でございます。

実は、ご主人の室井琴梅師匠が大のマラソンファンで、ご自分でも暇がありさえすれば隅田川の辺りをランニングしていると伺っております。かつて、琴梅師匠からマラソンランナーとして大活躍した新宅選手からランニングシューズをいただき、今も家に大事にしまってあると言うお話を耳にした記憶があり、意外と、そのあたりが師匠とマラソンとの出会いの切っ掛けになったのではないかしらと、勝手ながら想像しているのでございます。その琴梅師匠がハワイマラソン大会に参加することになったのです。六、七年前のことでございます。師匠をお誘いしたのは次男の孝之(六代目助七)でございます。遊び心(いや、むしろいたずら心か)一杯の息子が師匠に向かって「琴梅さん、ハワイマラソン大会に参加して三時間三十分を切る自身はありますか」と水をかけたのでございます。


師匠曰く「タレント(歌手)の郷ひろみは、ハワイマラソンで三時間三十分を惜しくも切れなかったようですが、その記録にチャレンジする気持はありますね」
「それならば私がハワイ行きをプレゼントしましょう」気の早い孝之の決断に師匠は目をパチクリさせたようでございます。(つづく)
by komakata-dozeu | 2012-07-01 08:00 | のれんと柳
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